Readyfor?のチャレンジを通じてつくりたい「今までにない避難生活を学ぶ場」=「共助の防災研修事業」のコンセプトのひとつに、「よき避難者たれ」を掲げています。

 

「防災リーダー育成」という研修を目にしたことはありませんか?もちろん指示系統を司るリーダー的存在を育成することは大切です。しかし、東日本大震災の実態に即すると、それだけでは防災・減災が成り立つわけではないことがわかります。

 

むしろ、「リーダーを育成しておけばよい」「リーダーに任せておけば大丈夫」という思考停止に陥り、その結果、うまくいかないケースも多かったようです。

 

 

まず、大震災のときには既存のリーダーがいなくなり、頼れなくなる可能性があります。亡くなる可能性、ケガ等で搬送される可能性、家族が望む広域避難に共に行動する可能性、大震災のときにはそこにいるはずのリーダーが不在になることがあるのです。

 

そして、リーダー任せの防災対策は、リーダーへの依存を生み、リーダー以外の人の主体的な行動を阻み、ひいてはクレーマーを生みます。

 

実際に東日本大震災の時でも最も苦労したのは「クレーマーの対処」だったと聞きます。「ホテル宿泊料を返してほしい」「布団を出せ」とあるホテルでもお客さんに詰められたと言います。

 

 

もちろん気が動転しているためにそのような行動に出てしまうこともあるかもわかりません。なにはともあれ、首都直下型地震や南海トラフ大地震を想定した場合、私たちの研修が対象としている駅・商業施設・集合住宅・オフィス等で、多くのクレーマーが出現すると思いませんか?そんななかで避難生活を送ることを想像してみてください。

 

このような課題を踏まえて、「大震災のリアル」を活かした「よき避難者」を育成する共助の防災研修・ワークショップを開発し、実施していきたいと思います。引き続きご支援とご協力をよろしくお願いします。

 

CCJ共同代表・荒 昌史