READYFOR?をご覧のみなさん、こんばんは。

復興応援団代表の佐野哲史です。

三日間にわたり、発災直後の現地の状況について述べてきました。

今日はそれらを受けて、復興応援団とCCJのする「防災減災研修」事業がめざすもの、その志についてお話致します。

 

①すべての秩序・事前の想定・マニュアルが崩れ、通用しない
②避難所で起こることは決して一様ではなく、避難所一つ一つで全く異なる
③避難生活の質は、「避難所運営の質」と「避難者のスタンス」で決定する

 

発災直後の被災地で(※)これらの状況に直面した僕は、「同じことが東京で起こったら、ちょっと考えられないぐらい、大変なことになる」とただ戦慄していました。

 

しかし、被災地に身を置いて活動してきた僕にとっては、あくまでも被災地の復興に貢献するのが第一であり、持てる力を復興の応援に注ごうと決め、首都圏の防災減災に目を向ける余裕をつくらずに来ておりました。

 

ところが状況が変わります。

特に今年に入ってからですが、被災地の雰囲気が変わってきました。

「発災当時の体験を話したい、伝えたい」という機運が出てきました。改めて耳を傾けてみると、そこには大災害を乗り越えてきた叡智が確かに存在していました。

 

きっかけもありました。

CCJ(Community Crossing Japan)との出会いです。

首都圏におけるコミュニティづくりという決してメジャーではないテーマに本気で取り組む団体に出逢った結果、復興応援団本位の言い方で恐縮ですが、CCJと一緒にやれば、被災地を離れずとも防災減災に取り組める、という確信が芽生えました。

 

こうして、体験を伝えたい被災地の方々と、防災減災を考える首都圏の人々とをつなげ、被災地の叡智を首都圏の防災減災に活かそうという「防災減災研修」事業が生まれることになりました。

 

復興応援団は、被災地のネットワークとツーリズムのノウハウを活かして研修プログラムづくりとツアーの企画運営を担い、CCJは、首都圏でのネットワークとコミュニティづくりの経験を活かして広報と営業を担当する。

そうしたコラボレーションの形が生まれました。

 

復興応援団×CCJの研修事業のコンセプトは下記です。

 

①マニュアルをつくらない/ただし事例集はつくる
②現場で深く学ぶ/実際に見て、問いかけて学ぶ
③自分で考える/自分の環境に置き換えて考える
④ひとりひとりがよき避難者をめざす

 

発災直後のように多種多様な状況が混在する状況下では一元的なマニュアルではなくひとりひとりの避難者が「自分で考えて動く」部分が不可欠となります。

考える材料となる事例集はつくるものの、現場へのツーリズムで深く学ぶことで自分の環境に落とし込むことを促せたらと思います。

また、避難する際に避難所を選ぶことはできず、どのような状況もあり得る避難生活の中では、ひとりひとりが良き避難者として振る舞うしかありません。

 

この辺りのことを、豊富な事例と、現地フィールドワークツアーによって深く学び、ひとりひとりの意識変革をめざすのが、われわれの防災減災研修の志です。

 

いま僕たちは宮城県沿岸部の20数カ所の避難所運営に携わっていた方々に鋭意インタビューを行なっています。

実際に首都圏の防災減災に役立てて頂けるクオリティをつくるために今後も尽力して参ります。

 

僕自身、生まれも育ちも東京で、家族や友人が東京で多く暮らしています。

ひとりでも多くの大切な人の命を救うための本研修事業へのお力添えを、どうぞよろしくお願い致します。

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※注
佐野は、2011年3月14日に発足した仙台・東京・関西のNPOと日本財団の合同プロジェクト「つなプロ」の現地本部長に就任、全国から集まった500人以上のボランティアスタッフと共に宮城県全域の避難所調査と人材・物資のマッチング活動に発災直後から数ヶ月間取り組んでおりました。