2013.12.14|READYFOR?投稿記事
避難所での衛生環境について
READY FOR?をご覧のみなさまこんにちは、一般社団法人復興応援団の佐藤秀一です。
昨日に引き続き、避難所で生活する上でどのようなことが起こりえて、またどのような備えが必要なのか、これまでのインタビューをふまえていくつかご紹介していきたいと思います。
今日はその第2回目。避難所における「衛生環境」についてです。
(トイレの確保について)
避難生活において、水・食料と並んで切実なのはトイレの問題です。東日本大震災で被害を受けた多くの地域では下水が壊れてしまったため、数か月にわたり避難所に設置されているトイレが使えない状況が続きました。
特に仮設トイレが設置されるまでの数日間はどの避難所も本当に大変だったようです。ある避難所では、最初の3日間はステージ裏に卓球台と暗幕を使って簡易個室を作り、大きめの衣装ケースにそのまま用を足していました。当初避難所を運営していた小学校の先生やPTAの方は、汚物が衣装ケースにたまったら、外に穴を掘って捨てにいき、これをひたすら繰り返すという過酷な作業を強いられていました。
また、流すことのできないトイレを無理やり使用したため、座って用を足そうとすると皮膚に着くくらい汚物が溜まり、教室に臭いが充満するなど劣悪な環境の避難所も多かったようです。
都心部においても大災害が起こり自宅で避難することになったとしても、しばらくは電気が使えないため水が流れない可能性が高いです。
また下水が損壊してしまった場合、数か月トイレが使えないといったことも起こりえます。
このようにトイレが使えない場合の備えとして、自宅でも簡単にできる簡易トイレの作り方をある避難住民から教えてもらいました。
用意するものは、「バケツ」「新聞紙」「ペットシート」「大人用の尿埋もれパット」「ごみ袋」など日常でも使うものばかりです。
作り方も簡単で、浴室などで新聞紙を敷き、その上にペットシートを敷いてバケツ(洗面器も可)を置いて。そこにごみ袋被せて中に新聞紙と尿漏れパッドを入れれば完成。
用を足した後はごみ袋の口を縛って浴槽に置いておけば臭いもほとんどもれないとのことです。
仮設トイレが設置された後も様々な問題が生じます。
仮設トイレは外に設置されるため暗くまた和式タイプがほとんどのため、歩行やしゃがむことが難しい高齢者などはトイレに行くのが面倒になり、水分を取らず体調を崩された方も多くいらっしゃいました。
しゃがんでできるタイプのポータブルトイレは高齢者にとって有効なトイレ対策と言えますが、せっかく支給されたにも関わらず、使い方がわからずまったく普及しなかった避難所もありましたし、凝固剤を流すなど使い方を誤り、汚してしまうなどの問題もありました。
ハード面での備えだけでなく、使い方の指導を合わせて行っていくなどソフト面の配慮も必要だったといえます。
(感染症対策について)
トイレの問題と並んで衛生面で対策が必要だったのが感染症対策です。
今回の震災は寒くて乾燥しやすい時期だったこともあり、インフルエンザなどの感染症が流行した避難所も散見されました。
手を洗うための水など満足にない状況では対策は難しく、避難所内で発症してしまった場合は隔離部屋を設けるなどして広がるのを防ぐしかなかったというのが実情です。
トイレの問題にせよ感染症の問題にせよ、衛生環境については物資面における事前の備えが重要だと思います。
またできるだけ普段から使用しているもので対応する、余分に一つ備蓄しておくなど、日常生活の延長線として備えておくとよいのではないかと思います。
さらに避難所において衛生環境を保つためには、率先してトイレ掃除を行うなど、避難住民同士の自発的な取り組みが必要になってくると思います。
そのあたりの問題については次回以降でふれていきたいと思います。