READY FOR?をご覧のみなさまこんばんは、(社)復興応援団の佐藤秀一です。

 本日も避難生活をする上でどのようなことが起こりえて、またどのような備えが必要なのか、これまでのインタビューをふまえていくつかご紹介していきたいと思います。本日は第3回目。避難所における「食事」についてです。

 

 

(食事の供給状況は避難所によってまちまち)

 ある避難所では、温かい食べ物をこの一週間まったく口にしていないという状態でしたが、一方で同じ時期に既に子供用のお菓子が配給されている避難所もありました。また指定避難所ではない所に避難されてきた方は、行政からの配給がなかったため、自分達で隣町のスーパーまで行って食料を調達したり、津波で流れ着いた冷凍庫をバールでこじ開けたり、近隣の農家を回って米や野菜を分けてもらい、炊き出しをしたりして命をつなぎました。また非常時に備えて集会場に十分な備蓄をしていた避難所では初日から温かいものを食べられていたところもありました。

 

(炭水化物中心の食事)
 

 このように食事の供給状況は避難所によりまちまちでしたが、多くの避難所で共通していたことは、避難所の食生活は炭水化物が中心だったということです。特に弁当などが配給される前の1か月位はおにぎり、パン、麺、汁物が中心で副食が少なかったため、1か月もたつと糖尿病になるなど健康面で問題は生じてしまいました

 

(炊き出しについて)
 

 発災後1週間くらい経過すると多くの避難所で炊き出しがはじまりました。炊き出しはボランティアが来てやるケースもあれば避難住民が食材を持ち寄ってはじめたケースもあります。田舎では地元の婦人会を中心に普段から炊き出しをすることが多いため、道具もそろっているし、手際よく炊き出しを始められたところが多かったと聞きます。また行政の職員が避難所運営を行っていたところでは在宅避難者に食材を分けてもらうことがなかなかできず、自ら身銭を切って食材を調達して炊き出しを始めたところもあったそうです。

 

(アレルギー持ちの子供、高齢者などに対する食事)
 

 とあるアレルギーの子供を持つお母さんは、炊き出しにアレルギー対応食がなかったため、自衛隊に直談判してアレルギー食を取り寄せたそうです。お母さん曰く、「自分の子どもは自分で守るしかない」とおっしゃっていました。
 また、高齢者は嚥下の力が低下するので、配給される食材をなかなか食べれない方もいらっしゃいました。高齢者に対しては本来、食材を刻んだ「きざみ食」が必要だといわれています。

 

 これまで述べてきたとおり、食事に関しては避難した場所によって状況は大きく異なります。もし自分が避難した場所に何も備蓄がなく、また配給もされないような所であった場合、自分達で食料を調達するしかありません。しかしながら都心部で被災した場合、周りに畑や農地は少なく、食料の調達は近隣のスーパーやコンビニなどに頼らざるをえません。たとえば事前に協定を結び調達先を確保しておくなどの対策が必要かもしれません。また、食材を調達できたとしても普段から炊き出しなどやっていなければいざというときに出来ないという事態にもなりかねません。祭などのイベントなどを使って、自治会単位で普段から炊き出しの訓練をしておく必要もあるかと思います。
 さらに避難所になりえるところでは、単に食事を備蓄しておくだけでなく、アレルギーや高齢者などスペシャルニーズへの対応も考慮し、一定の備蓄をしておくことも検討すべきだと思います。